保育園や幼稚園、学校でクラスTシャツを作ることになり、Tシャツ制作係になったけど、どう進めればいいの?という疑問について、実例実体験を踏まえて手順を説明します。
改めてTシャツ完成までの工程は以下です。
【納品4ヶ月前】
1 チーム編成
2 デザイン考案
【納品3ヶ月前】
3 デザイン決定
4 業者選定
【納品2ヶ月前】
5 デザイン展開、発注数公募
6 注文数集計
【納品1ヶ月前】
7 発注
【納品2週間前〜1週間前】
8 梱包
9 納品、集金
前回の説明はこちら↓
デザイン展開、注文受付

サンプルが手元に届き、クラスの教室前のサンプル展示の許可まで下りたらいよいよクラスへ購入の告知をします。(サンプルの用意がない場合はそのままクラス告知へ進みます。)
告知方法は様々ありますが、もしそのクラスでLINEグループやメーリングリストがあるのであれば、そこで告知をするのと、全員入っていない場合のことを考えて書面での告知も合わせて行うと良いでしょう。
自分のクラスの場合は、母数が少ないこともあり、メーリングリストのみでの連絡で事足りました。
周知するにあたり、必ず伝える必要がある点を列記します。
締め切り

納品から逆算してスケジュールを組んでいるため、当たり前と言えばそれまでですが、意外と締め切りが守られないケースも多いので、毎日動向を見守ると良いでしょう。
また、期日は短すぎても判断を焦らせてしまいますし、長すぎても締め切りが忘れ去られてしまう可能性がありますので、締め切りは1週間~10日を目安にすると良いです。
ちなみに自分たちは期日を告知から1週間後としました。
価格

誰もが気にするお値段。今回の発注のやっかいな部分が正に価格提示で、発注数によって一枚あたりのコストが変わって来るところです。おまけにクラスTのため必要以上にお金を取るわけにはいかず、かといって赤字にはなりたくない。プラスマイナス0でTシャツを渡したいということが着地点。
販売だとすれば、シンプルに発注数に対する利益を上乗せした価格設定となりますが、そうはいかないため、むしろハードルが高くなりました。
どうしたもんか、、と悩みをグループに吐露したところ、「2,000円〜2,500円くらいになる予定です。」と周知しちゃえばいいんじゃない?と助け舟をメンバーに出していただき解決。
「決め打ちで値段を設定しなくてはいけない」という考えに取り憑かれていたのですが、「そもそもの前提条件を覆してしまおう」という発想が無かったので、またしてもメンバーに助けていただき、チームでもの作りを進める素晴らしさを実感しました。
デザイン

繰り返しますが、自分たちの場合は予め子供用の平均サイズ120、大人用平均サイズMのサンプルを1枚づつ用意しました。
デザインは実物を直接見ていただく環境を用意したため、デザインイメージの画像を展開する、というような手間はありませんでしたが、サンプルの用意がない場合は当たり前ですが、最低でもイメージ画像の展開は必要です。
ですが、イメージ画像と実物は乖離があるものですので、実物のサンプルを用意することをお勧めします。
サイズ展開

超重要です。サイズ展開は(幼稚園、保育園等小さい子供のイベント等では)大人子供入り混じることと、その人好みの着方があるので、可能な限り選択肢を増やしましょう。
もしかしたら大人の女性でも大きめに着たいかもしれない、キッズサイズの大きめのサイズを着たいかもしれない、クラスの児童の兄弟姉妹分のサイズを購入するかもしれない、と想定を広げて幅広くサイズ展開すると良いでしょう。
実際に女性(お母さん)でもジャストサイズよりオーバーサイズであえてゆったりと着用する方や、子供サイズの150(Sサイズのワンサイズ下のサイズ)、男性(お父さん)であればXLを購入される方、児童の下の兄弟、姉妹用にと100サイズや110といったサイズの需要もありました。
そして、ここで活躍するのは先に作成しておいたサンプルです。
繰り返し書き綴っていることではありますが、幼稚園でいうと年長のクラスにあたりましたので、6歳児の平均的なサイズの120と大人のMサイズをサンプルとして制作し、実寸の参考にしていただきました。
注文数集計
週末金曜には教室前にサンプルを設置し、週明け前の日曜日に告知。各家庭より希望サイズ、枚数を返信いただき、期限後に集計、業者への発注へと進めます。
業者へ発注する前の集計は別家族のメンバーへ依頼し、締め切り後、速やかに集計と連携を実施いただきました。
集計はエクセルを使うと間違いもなく集計可能です。

あくまでも参考例ですが、各家族がどのサイズを何枚購入したのかということも、式を組めば簡単に集計ができるので、上記のようにまとめるのがお勧めです。
エクセルの式は画面左上の「fx」を押せば誰でも簡単にできます。
今回は簡単な足し算、掛け算程度の式を使う程度ですので、エクセルが慣れていない方も簡単に作れると思います。
各家庭が何枚購入し、合計金額がいくらになるのかということと、各サイズごとの合計枚数も出すようにしていますが、各家庭がどのサイズを何枚購入し合計金額がいくらかになるのがわかれば十分ですので、各サイズごとの枚数は必要あれば集計に使う程度でよいと思います。
発注

集計後、業者への発注へ進めます。
各家庭への集金のアナウンスのため、この時点で発生料金も合わせて確認します。
そして、サンプル代も含めて出た見積もり金額から1枚あたりの単価を割り出します。
自分達の場合は、各家庭が児童用以外にも他家族用として複数枚購入していただけたこともあり、1枚あたり2,000円少々で生産を進められました。
クラス用Tシャツで一枚2,000円という金額が安いかどうかは感覚が様々かと思いますが、当初コンセプトを曲げずに進めた結果としては、自分達では全てが十分過ぎるくらいのパフォーマンスであったと実感しました。
また、アバウトな金額提示であったにも関わらず、多くの家庭に何枚も購入いただいた結果としての値段でもあるので、ここはもちろん賛同頂いたクラス全員のお力添えあってのことでしたので、感謝しきれませんし、アバウトな価格の最低額で提示できたことが何よりも良かったです。
ちなみにちょっとした裏技というほどでもありませんが、サンプルとして制作したTシャツを自分用として着用することに抵抗が無いのであれば、サンプルを自分用にすることにより、余分なコストをカットできます。
梱包~納品、集金

業者から発注後1週間〜10日程度でTシャツが仕上がり、まとめて送られてきますので、ここからは梱包作業に移ります。
リストを見ながら間違いの無いように各家庭ごとに梱包していきます。
また、家庭によっては領収書が必要な方もいらっしゃると思いますので、予め領収書も作成しておきましょう。(領収書もネット環境で簡単に作成できます。)
自分達の場合は届いたTシャツをリストを見ながら各家庭への梱包までの作業を実施し、梱包したTシャツを園から一番近い家族のチームへ届け、その家族が集金とTシャツ配布の担当となりました。
そして、サプライズで先生の分を制作したのですが、自分たちの園の場合は、先生は個人から物品を受け取ってはいけないという誓約があったため、残念ながらお気持ちだけにとどまりました。学校や園ではこのような決まりがあるかもしれませんので、そのようなサプライズを検討されている場合は予め確認しておくと良いでしょう。
集金とTシャツ配布が終われば晴れて任務完遂です。
最後に

とにかく納得のできる最高のTシャツを作ってみんなで最高の思い出を作る。
この想いだけで走ってこれたと言っても過言ではありません。
このクラスTシャツに携わっている間は子供たちが同じデザインのTシャツを着て、競技と演目を頑張っている姿を常に想像しながら作業していました。
そして幸運なことに、自分たちが作ったTシャツは子供たちだけにとどまらず、大多数の親御さんにも受け入れられ、思い描いていた想像は想像以上の現実となり、夏祭りや運動会といったイベントが大いに盛り上がりました。
その想像を超えた現実は、お金には決して変えられない幸福感と達成感を自分にもたらせてくれました。
ただ、先生にも同じTシャツを着て一緒にイベントを、という想いが実現できなかったことと、もう一つ悔いが残ったのは、バックプリントに先生の名前を入れなかったことです。これは思い出としてのTシャツを作る過程においては残念だったミスでした。
「この担任の先生のこのクラス」感を120%出したかったので、もし生徒名を記名するようなデザインの場合は、深い関わり合いの人がいないかどうか周囲を見渡してみると良いでしょう。
それでも、幼稚園で言うと年長の年齢にあたる年に作ったTシャツは、その後私服としても着用してくれたり、小学生になった後もサイズアウトするまで着用してくれている児童を見かけることもあったり、卒園後のクラスの集まりでも大多数の児童が着用して集まったりと、本来イベントが終わったら役目を終えるTシャツは、長きにわたり活躍してくれました。
もし、Tシャツ作成をすることになって前も後ろもわからない、とか、コストパフォーマンスを重視しながら良い作品を作りたい、とか、自分達と同じように最高のTシャツで最高の思い出を作りたい、など、Tシャツを制作することになった方への参考になれば幸いに思います。