ヴィンテージTシャツにおけるブートレグとフェイクの定義

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ブートレグとフェイクの定義

ヴィンテージ文化に触れていると、避けて通れない概念の一つが「ブートレグ」や「フェイク」の存在。

この概念や存在はヴィンテージに限ったことではなく、既出のアパレルブランド、さらに広義的に見ると、アパレルに限ったことではありません。

ただ、そこまで話を広げると取り留めのない内容となりますので、ここではヴィンテージ、特にヴィンテージTシャツにフォーカスをして書き綴りたいと思います。

そして、一つ前置きをしておきますと、ここで書き綴る「ブートレグ」と「フェイク」の定義については、自分自身で長年ヴィンテージTシャツを見てきた中で結論付けたものとなりますので、あくまでもご自身が商品を選択する際の判断基準の参考として頂く程度に留めて頂けると幸いに思います。

ブートレグとは

語源の意味についてはググればわかりますので割愛しますが、ここでは海賊版=著作権利者に無断で製造・販売される非合法な製品というのを前提とします。

詳細は下記のパキ綿に関する記事に記載しています。

パキ綿のTシャツは当時でこそ正規品販売者や著作権者からしたら「ざけんな」と厄介がられていたのは火を見るより明らか。

一方で消費者からすると、正規にこだわらなければ安価にファンのアーティストのTシャツが手に入るということで、正規品、ブートレグ共にマーケットが成り立っていることがわかります。

これまでヴィンテージTシャツを探す最中に幾多のパキ綿ブートTを見てきていて、そのコレクションは次第にオフィシャルを凌駕するほど巨大なものとなっていったことが何よりもの確固たる証拠です。

手を広げ過ぎてカナダボディのブートレグにまで手を伸ばす始末。(カナダボディは作りが繊細なため、ブートレグという言葉で一括りにするのは未だにためらってはいるのですが、、。)

このように偽物が本物を凌駕する、ではありませんが、パキ綿ブートレグのTシャツはオフィシャルのコピー品ではなく、それ独自のデザインで展開しており、このことこそが単なるニセモノで片付けるわけにはいかなくなった事実と捉えています。

そして、未来から眺めるそれらは、「当時のオリジナル」を形成していたように映り、レアな当時物と崇められ、れっきとしたヴィンテージとして成立してしまうのです。

これらの事実や考察を積み重ねると、ブート=単なるニセモノと判断するにはあまりにももったいなく、安直であることが見えています。

もし当時その場にいたら、、なんて空想は幾度となく繰り広げてきましたが、当時は今述べているような思考ではないわけで、そのような空想は不毛です。

今の時代に生きて、その時代から見た過去の製品について価値を見出しているわけですから。

ヴィンテージTシャツにおけるブートレグについては、オリジナルの模倣品、独自のオリジナルデザインを含めた当時ならではのエピソードやボディの風合いなども総合して一つのヴィンテージの中のジャンルを確立していると言っても過言ではないでしょう。

故にブートレグと言えど、当時物としての価値が見出され、それなりの価格で流通しているのです。

フェイクとは

ヴィンテージTシャツの中で「フェイク」という言葉が出てきたものについては、ほぼほぼ完全な「悪」のような扱いとなります。

というのも、オリジナルの模倣品、コピー品というところまではブートレグと大差ありませんが、フェイク品は「オリジナルやブートレグのデザインを完コピして当時のヴィンテージ品と謳って流通させること」という、人を欺くことが前提にあるためです。

さらに輪をかけて「悪」となる行為とは、上記に記載した通り、生産されたフェイク品をヴィンテージと謳い、人を欺き販売する行為に至ることです。

過去には自分自身も幾度か「フェイク品」を掴まされました。

それも、ある程度知識を得ている中の出来事でしたが、事例を2つご紹介します。

「ヴィンテージ」と謳われた現行ものを掴んでしまう

いずれもネットでの取引で、一つは、ローリングストーンズのパキ綿ツアーTの現行物を「当時のヴィンテージ」と謳われ購入してしまったこと。

モノ自体はフェイク品というよりかは「現行物」。

ネットで画像を見て判別していましたので、ストーンズのTシャツを購入し、商品に初めて手に触れた時に現行物を掴んでしまったとわかったのです。

「現行物」はフェイク品と異なり、当時のヴィンテージTの人気デザインを量産し、安価で販売していますので、ヴィンテージともフェイクとも異なる、ある種開き直った合法性のあるものです。

ですが、それをヴィンテージと謳って販売する行為自体は人を欺いている行為に他ならず、それは出品者に悪意がある、無い関わらずです。

故に出品者は人を欺く気が無くとも、結果的に人を欺くことの無いように、正しい商品知識を身に付ける必要があります。

ヴィンテージものなのか、そうで無いのかの判断では手触り、つまり触覚をよく使うのですが、ネットの場合はそれが使えません。

判断材料が画像のみとなるので、購入する場合は正しい選択ができるように細部まで画像と説明文を確認しなくてはなりません。

確認したい箇所の画像がなければ、躊躇なく出品者へ質問します。

また、その商品が本当にヴィンテージなのか、現行ものなのか判断が難しい場合は、外にも目を向けて情報を得る必要があります。

別の通販サイトやオークションサイトで同様の商品が出回ってないかどうか、出回っていた場合、どのような説明がなされているか、などです。

少しでも疑わしい商品がある場合、本来はこのような確認作業が必須ですが、当時の自分はその工程を飛ばして購入へ進んでしまったのです。

その結果、現行物を掴んでしまうことに。

ヴィンテージと信じ込みフェイクを掴んでしまう

2例目は、「The Knits」というボディメーカーの迷彩パターンのバンドTを数枚購入してしまった事例です。

ある日、海外オークションサイトでヴィンテージTを検索をしていたところ、見たこともないようなメタリカの迷彩袖×白ボディのThe Knits社製のTシャツを見つけました。

さらにその出品者からは同じ迷彩×白ボディの別パターンのメタリカ、アイアンメイデンのデザイン数枚出されているのを確認しました。

普通であれば、この時点で怪しむのですが、自分へ間違いないと思わせた決定的な点が2点ありました。

それは、The Kinits社製のタグであることと、迷彩ボディのアイアンメイデンはヴィンテージで存在しているという事実です。

The Kints社製のボディに「偽物は存在しない」という思い込みも良くなかったでしょう。

現代では現行のScreen Stars社やGiant社のボディも流通しています。

この2点が自分の目を曇らせ、これらのTシャツ=ヴィンテージと決定付けてしまい、最終的にフェイクを掴んでしまった要因となりました。

実際に数枚買い付けて、手に取ってみても怪しいところは全くありませんでした。

肌触りや質感、タグ、、全て取ってみてもヴィンテージと比べても遜色ありません。

何故フェイクものかと軌道修正できたかというと、うまく仕入れ出来すぎたからです。

オークションサイトでは同業者が似たような感性で商品を狙っているわけですから、争奪戦になることが当たり前なのですが、全くそのようなことなく苦労せずに手に入れられたこと、ヴィンテージの迷彩柄バンドTは非常に球数が少なく、一枚手にするのにも困難であるにも関わらず、数枚も手にできてしまったこと。

この辺りがどうしても自分の中で納得できず、出品前に再度入念にリサーチしたのです。

結果、これらのTシャツはフェイク品であることが発覚。

商品知識がある中でこのようなことを起こしてしまったのは自分の慢心に他なりません。

このようにフェイク品というのは、ブート品と明らかに意味も立ち位置も取り扱われ方も異なるところにあります。

フェイク品は悪なのか

ここまで綴ると、フェイク品は悪であり、手にしないように勧告しているかのような印象を与えているかもしれませんが、そのようには考えていません。

何故なら諸悪の根源と言うと大袈裟ではありますが、人を欺くための製品を生み出し、人を欺いて販売する行為こそが「悪」であるからです。

最も大切なことはフェイク、オリジナル関係なく、その手元の商品を正しく扱えるかどうかということです。

オリジナルの価値を知らずに安く叩き売ってしまっては提供者が損をしてしまいますし、フェイク品については知ってか知らずか、オリジナルと謳って販売した時点で人を欺く行為となってしまいます。

自分の価値基準を定める

売買というのは、お互いがモノの価値を共有し、初めて成立することが正しい在り方と考えます。

したがって、フェイク品を販売するのであれば、あらかじめフェイク品であることを公表すべきであり、それを踏まえて需要があるかどうか考えることが肝になります。

フェイク品や模倣品、リプリントの製品はオリジナルに比べ安価になりますから、それでも良いので欲しい、という需要は確かに存在するからです。

モノの価値は変動しますし、オリジナルしか認めない、という価値観を持っている方もいたり、オリジナルに似たような製品を安価で手に入れて自身の欲求を満たすという考えもあります。

このことに関しては一切否定しませんし、人を欺くことを除外するのであればフェイク品やリプリント品を販売することにも否定しません。

大切なことは、自分の価値基準を見定め、製品の知識を深めた上で選択と決定をしていくことであると考えています。

以上が自分自身で長年ヴィンテージTシャツを見てきた上でのブートレグ、フェイクの定義の考え方です。

この記事が商品を選ぶ際の参考になれば幸いです。

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